2012年1月21日土曜日

ダイエットについて(骨盤枕)

昨日はTV番組で「骨盤枕」なるダイエット法が紹介されたようで、
結構話題になっているようですね。

ところで日本人女性は「痩せている人も痩せたい願望がある」ということをご存知でしょうか。

『女子大学生の体型と痩せ願望』(→リンク)という論文によれば、
240人を痩せ、普通、肥満に分類したところ、そのうちわけは、
痩せ群40人、普通群184人、肥満群16人。
痩せ群40人のうち、13人(32.5%)
普通群184人のうち、170人(92.4%)が痩せたいと思っています。
しかし健康を考えた時に「痩せる」ということは、全ての人にとって良い事なのでしょうか。
痩せてしまった事でなんらかの健康障害が出るかもしれません。

昨日の番組は見ていないので、ネットで調べてみると

「普通の枕ではなくまず専用の枕を作ります。バスタオル2枚を重ねくるくる巻いて、ビニールひもでしばって円筒状の枕を作れば完成!これを一日5分腰の下に敷くだけです。骨盤の歪みがとれて、代謝がよくなり太りにくい体質になります。」

という実に簡単なもの。すぐに浮かぶ疑問はこちら。
「バスタオルの硬さや厚みによっては、全く違うものができるけどよいのか」
「そもそもみんな身長や体型が違うのにそれに合わせなくていいのか」
「腰といっても範囲は広いが、『腰の下』と言った場合、
人によって枕が当たる位置が違ってくるが厳密にやらなくていいのか」

人によって、やっていることそのものに違いが出る場合、再現性は低くなります。
厳密にやらなくても同じ効果があらわれることはありますが、
これはひょっとすると「スタイリー(古い!)やぶらさがり健康器で痩せる」的なものかも。

体を反らせることで、一瞬ウェスト周りがすっきり、計ってみてびっくり、
それがモチベーションになって、ダイエットに精がでる。
というタイプのものなのかもしれません。

まあ他にも科学的な見方をすれば、つっこみどころは満載ですが、
ここはあえて「骨盤枕で本当に痩せる!」という前提で話をしたいと思います。

ダイエット記事などでよく挙げられる痩せる方法は、
「食事制限」「運動によるエネルギー消費」「代謝をよくする」です。
この中で言葉が独り歩きして眉唾ものなのが「代謝をよくする」。
基礎代謝を上げて、食べても太らない体質に!なんてよくやってますが、
ここでは「骨盤枕」が効能として謳っている通りに、
代謝がよくなり、痩せて太らない体質になったとします。

「代謝がよくなって、食べても太らない」、やったあ万々歳!

ちょっと待ってください。
「食べても太らない」、それは本当に理想的な状態といえるのでしょうか。
以前と比べて体の調子はどうなのでしょうか。
そもそも以前の状態が本当に「代謝がよくない」状態だったのでしょうか。
「代謝が良くなった」のではなくて、体の働きが狂って、
「栄養をキチンと吸収して、体内にとどめる事ができない状態」になったのかもしれません。

「食べても太らない(太れない)」、あるいは「痩せる」ということが、人にとって
本当に正しい健康状態なのかという見地が完全に抜け落ちています。

私は今までに「食べられない」あるいは「食べても太れない方が、
体調不良で苦しんでいるのを随分と見てきています。
周囲の人からかけられる、
少食でいいね!」とか「太らないからうらやましい」
という言葉に傷つく人も少なくありません。
本人は苦しんでいるわけですから…。

つまるところ、不特定多数の人に対して「これで痩せる!」と
オススメするってことは、
たとえ事実でも、「後は野となれ、山となれ」ということです。
病気になろうが知ったことじゃあない。

もちろん、健康面も含めて痩せた方がよい人に対して
キチンと指導を行っているのなら話は別です。

「食べても太らない体になりたい」という考え方は裏を返せば、
「食欲は抑えられないが、きれいな外見になりたい」ということ。
そういう人の心を見透かして、「これで痩せる!」なんてやって
業績を上げている会社もあるかもしれませんよ。

本当はそんな自分の心を見つめ直すところから始めなきゃあいけないんですが…。
まあ困ったもんです。
関連記事 : 「骨盤ダイエットはいつから」(黎明編)(成長~成熟編)(解析編)

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