2012年6月11日月曜日

6月の落語講座のお知らせ

来週6月20日(水)は月に一度のお楽しみ、
背中家腰楽の落語講座がございます。

今回は落語に入る前に、ちょっとした「仕掛け」を用意しました。
その中身は…当日のお楽しみ。

午前中はこちらにて、

場所  暮らしの学校

時間  6月20日(水) 10:30~11:30

電話  0120-511-533

WEB  暮らしの学校(講座ページ)


夜は、1階は特製自家焙煎コーヒー店、
2階は「ナマケモノ大学」を開催しているコチラにて


場所  喫茶スロース (JR蒲郡駅より徒歩分)

日時  6月20日(水) 20:00より 

電話  050-3598-6745

WEB  http://ameblo.jp/slothcoffee/

乞うご期待!

2012年6月8日金曜日

「マインドコントロールの恐怖」に隠される問題

「マインドコントロールはもう解けたのか」
「この時期の逮捕は都合の悪いことを隠そうとする
何者かによる国民へのマインドコントロール」
と喧しい今日この頃ですが、

本日の記事は、少し前にマスコミが

『女性芸能人が占い師と同居し、外界との関係を絶って、
TVにも出演しなくなり、家賃を滞納したり大変な事になっていたが、
家族が救出して一件落着!』

としきりに報じていたほうのお話が中心。
そして『マインドコントロールの恐怖』と。

この言葉は新興宗教や、わけのわからない治療法などで、
何らかの被害が起きて事件に発展した時に良く出てくるフレーズです。

マインドコントロールという言葉は直訳すれば「心理操作」ですが、
こういう場面で使われるマインドコントロールは、
「他者により、拒絶するのが困難な状況下で、
ある思想や考え方に誘導されてしまうこと」と定義されるようです。

うーん…、そうなると落語家の前座、見習いは
日々マインドコントロールを受けていることになりますな…

では「一般常識から逸脱し、社会の中で様々な問題を引き起こしやすい、
特殊な思想や考え方に誘導されてしまう事」と付け加えましょう。

これにも当てはまる落語家さん随分いますよ、という話は置いといて…

マインドコントールされている状況は確かに恐ろしいと言えますが、
本当に、マインドコントロールそのものや
「マインドコントロールする人間」が諸悪の根源なのでしょうか。

なぜその人がマインドコントロールされるところまで到ってしまったのか、
という視点で考えなければ、問題の本質は見えて来ないような気がします。

悩みや苦しみが自分だけで解決できない時、
人は誰かの助けを必要とすることがあります。
その「誰か」はまず親であり、兄弟、友人、
あるいはソーシャルメディアの知り合いかもしれません。
(それらの人が悩みの種である場合を除いてですが…)

必要な「助け」は、必ずしも具体的な「助け舟」ではないかもしれません。
いろんな話をしたり、一緒に過ごす中で、「苦しみ」が解消されることもあります。

しかし、たとえ友人や親が冷たい人間でなかったとしても、
その人の生きる希望につながる存在になれないことだってある。そんなとき、
「この人たちと一緒では解決できない(幸せになれない)」
と感じてしまう人もいるはずです。そうなると孤独感は深まります。

親にも友人にも自分にも解決できない「苦しみ」を抱えて、
赤の他人である占い師の前に立つ人の心はどのような状態でしょうか。

また、「誰にも解決できないものを抱えています、助けてください。」
というような人間を前にして、占い師はどのような感情に支配されるでしょうか。

占い師が「つらい思いをしている人を救いたい」
という動機でその職を選んだのであれば、実際に助けてあげられるかは別にして、
目の前の人に感情移入して、優しい言葉、
慰めの言葉、あるいは厳しい言葉をかけるのではないでしょうか。

その言葉が占い師の本心から出た(と感じられる)ものであれば
「この人は真剣に私のことを考えてくれている」と
占い師との間に信頼関係が生まれることもあります。

その関係の中で、今までになかった安堵感、納得感が得られれば、
「私を救ってくれるのはこの人だけ」となって「依存」する事もあるでしょう。
解決できない問題を抱え、どうしていいかわからない状態で、
導いてくれる(コントロールしてくれる)存在を探していたのですから…。

そうなると、今まで自分を導いてくれなかった、
もう既に占い師よりも信頼度の低くなってしまった、親や友人といった
周りの人が占い師を非難するようなことを言えば、
その人に対しては敵意を抱くかもしれません。

ここで依存させている側が、きちんと立ち直らせ、
自立していけるように導くことを念頭に置いていれば、
新聞沙汰になったりはしないでしょう。
まあそんな占い師なら、そもそも依存なんてさせない。
売れっ子占い師は、依存がどういうリスクを孕んでいるのかよく知っているはずです。

善意や同情心を持って一緒になって真剣に考えたとしても、
その人がキチンと生きていく道筋をつける能力が無ければ、
「人柄は良くても無能な指揮官」を妄信して付き従う兵と同じく、
待っているのは全滅(共倒れ)というひどい結末です。

昔の人はこういうことを「かけた情けが仇となる」って言ったもんです。

まあこれが悪党ならば、依存させたまま、人を支配する全能感に酔ったり、
財産をとことん毟り取るんでしょうが、
悪意の無いほうがタチが悪い場合だってある。

「この人のためにやっている」という意識が、
依存させている側の存在意義や正当性を保つ、
大義名分になっていることもあるからです。
こうした場合、起きている間違いがどんなにひどくても、依存関係にある双方共が、
完全に破綻するまで間違いに気が付かなかったり、見て見ぬ振りをしてしまいます。

こういったことは、一般的な人間関係でも起こりうることです。
私のような施術を生業にしている人間は、患者さんとの関係性において、
特に気を付けなくてはなりません。

そして、たとえ依存関係から開放されたとしても、
「占い師に頼るしかない状態に追い詰められた環境」
に戻るだけだとしたら…

「ひどいめにあったけど、マインドコントロールがとけてよかったね」
と部外者はそれでもいいのでしょうが、少なくとも近くにいる人は、
「大事な人が占い師にすべてを委ねることになった」
その意味をもう少し丁寧に考える必要があると思います。