2014年11月11日火曜日

11月の落語講座のお知らせ

11月19日(水)、11月20日(木)は背中家腰楽の落語講座がございます。

前回のお話は「井戸の茶碗」でした。
登場人物が善人ばかりで嫌なところが無いと、人気の高いお話です。

しかし以前、この話は最後で嫌な気持ちになると話してくださった方がいます。
終盤の場面で、女性がお金と交換されているようで気分が悪くなると。
良い人ばかりが出てくるだけに、そこが目立つと仰るのです。

なるほど、これは暢気にしていてはいけません。

常識は時代と共に変わります。
昔の価値観ではあたりまえのことでも、今では非常識なんてのがいくらもあります。
誰かの「不快」が誰かの「快」なんてこともあるわけですが、
初めての落語で嫌な気持ちになったら、色々といけません。次は無いですし。

そこでアタクシは古典落語においては「江戸時代」という装置
をきちんと発動させることを心掛けています。

心置きなくお話の世界を楽しんでもらうために、観客と
お話の「距離」の調整装置としての「江戸時代」。
つまり「今の話」となると不快で受け入れがたいけれども、
「(江戸時代の)昔の話」なればこそ受容出来ると。

「江戸時代の話」として伝わるためには、
江戸のことばや武士のたたずまいが、それらしいものになっているかどうか、
細部に気をつけなくてはなりません。

そうしたセオリーに加えて、
「初めて聞いた人が江戸時代の話だとみなすことが出来るお話
を更新し続ける必要があります。
時が経つにつれて(そして世代間によっても大きく違う)
「江戸時代のイメージ」は変わっていくのですから。

後は演者の意識も大事なんでしょうね。
自分の言葉が、自分の心のどの部分から、どの深さから発せられているのか。
見ている人の心の同じところに響いても大丈夫なのか。

今の話に改変することで遠くなる話。
江戸の話にすることで近くなる話。
演者と噺、演者と観客。
つくづく「距離」を大事にしなきゃあいけないなあ、と勝手に思っております。

と、毎度おなじみのややこしいお話をしたところで講座のお知らせ。

今月のお話は「廓噺」でございます。廓噺とは遊廓での遊びにまつわるお話。
有名な吉原を「北国(ほっこく)」、品川を「南(みなみ)」なんていいまして、
東海道第一番の宿駅である品川は、遊びの場として大変栄えたそうでございます。
そんな品川で起きる騒動を描いたお話。

また今回はお話の中で昔の遊び「おいちょかぶ」の場面が描かれます。




おいちょかぶはブラックジャック
の日本版といえる遊び。



写真は任天堂の『株札』





というわけで今月も講座終了後にお楽しみイベントを開催予定です。
(手が後ろに回る形のものではありませんからご安心を)

背中家腰楽の落語講座では
「落語はちょっとむずかしそうで…」という方も、
「あらかた知っているよ」という方も、
よりお楽しみ頂けるように
レジュメ、プレゼンテーション付きの落語をやらせて頂いております。


とても暢気で楽しいお話ですから、どうぞご期待ください!

11月19日(水)はJR岡崎駅より徒歩五分
様々な講座を開催しているこちらで。

場所  暮らしの学校 (JR岡崎駅徒歩5分)

日時  11月19日(水) 10:30~11:30

電話  0120-511-533

WEB  暮らしの学校(講座ページ)


11月20日(木)は、1階は特製自家焙煎コーヒー店、
2階は「ナマケモノ大学」を開催しているコチラにて


場所  喫茶スロース (JR蒲郡駅より徒歩1分)

日時  11月20日(木) 20:00より 

電話  050-3598-6745

WEB  http://ameblo.jp/slothcoffee/

2014年11月1日土曜日

「めくり」問題はこれで解決!(印刷編)

前回の『「めくり」問題はこれで解決(プリンター編)』からの続きものでございます。

「全然解決していないじゃないか」とのお叱りに反省しきり。今日こそ解決いたします。

前回はワードでの文字入力でつまづいてしまいました。
他のワープロソフトを導入するという選択肢もあったのですが、
また余白の設定などでうまくいかないと癪なのでやめました。

結論としては、「画像に変換して印刷する」ことに。

ちなみにここからは私が導入しているソフトウェアを使った、めくりの作り方になります。
同様の機能を持つソフトでしたら、問題なくできると思いますし、
もっと簡単な方法もあるかもしれません。

とにかくアタクシのやり方はといいますと…

①名刺づくりなどで重宝していた『ラベル屋さん』(フリーソフト)を起動。
適当な紙サイズを選択して(勘亭流フォント)文字入力(「背中家」は少し小さくしてます)。






(ラベル屋さんは文字間隔を調整するときの操作が楽です)







②PDF形式で出力
使っているのは『CubePDF』(フリーソフト)。
導入するとプリンター設定で「CubePDF」というプリンターが選択できるようになります。
(もちろんword等でもPDF出力が可能)
印刷ボタンを押すと「CubePDF」が起動しますので変換ボタンを押します。




















変換するとPDF形式で出力され「AdobeReader」が起動します。
※2015年1月追記
(この時点で出力するファイルタイプをJPEGにして、③のJTrimで加工するほうが楽です)

















左上の[編集]⇒[スナップショット]で、両脇の空白部分を除いて
文字部分のみを選択して切り取ることが出来ます。
このとき表示倍率が低いと印刷時に文字がぼやけるので、
一旦50%程度で全体を表示して選択し、
その後倍率をクリックして任意倍率(200%以上がオススメ)を入力します。
右クリックして[選択したグラフィックをコピー]。

③ペイントソフトを起動。
使用したのは「JTrim」(フリーソフト)。
[編集]⇒[貼り付け]で切り取った画像を貼り付けます。
[ファイル]⇒[印刷プレビュー]でこのように表示されます。
切り取った文字列は細長いのですが、印刷設定がA4になっています。
















上の右から二つ目の[プリンター設定]を開いて、プリンターを選択。
[基本設定]⇒[用紙サイズ(一番下までスクロール)]⇒[ユーザー定義サイズ]
でめくりサイズに幅と長さを設定。(今回は210×1091mm)
ついでに[印刷品質]を[きれい]に。
















おお!いけそうではありませんか。
印刷サイズで[用紙の大きさに合わせる]で自動調整してくれます。
しかしこのモードは印刷位置の微調整ができません。
[用紙の中央に配置]だと下に余白が出来ます。
もう面倒なのでひっくり返しました。
プレビュー画面を一旦抜けて、90°回転ボタンを2回押して
















うん「それらしく」なりました。まあこれで良しとしましょう。
いきなりやったのに上手くいきました。

印刷位置を微調整をしたい場合は、倍率指定モードになります。
画像の倍率をここでは細かく指定できず、②のスナップショットの倍率によっては
枠からはみ出してしまいますが、編集画面に戻ってリサイズすれば
ぴったり収まる大きさに調整できます。
この作業は思ったほど手間はかかりませんので気になる方は。

また文字間隔の調整は後からはできませんので、
①の入力時にしなくてはなりません。

④印刷時の注意
後ろから紙を差せるタイプのプリンターであれば問題ないのでしょうが、
前から紙を入れて前から印刷物が出てくる複合機タイプのプリンター(EP-802)
では紙詰まりが何度か起きました。これを避けるには、

1、できるだけ印字部分が最初に来るようにすること。
  (無印字部分が最初にあると、印字箇所まで勢いよく紙を吸い込んで詰まる)
2、プリンターに紙を差し入れるとき、紙の反りに注意すること。
  (切って丸まった模造紙は凹状面を上にして差す(EP-802の場合)。凸面が上だと詰まる)

同様のタイプのプリンターをお使いの方は参考にしてください。

これでめくり作製法の説明はオシマイです。
今回紹介しましたのは、単に「画像に変換、加工して印刷」というだけのものですから、
もうすでに知ってらっしゃる方からすれば、何でもないものなのでしょうが。
①で入力した文字を高解像度のディスプレイで表示して、
画面をコピー(Fn+PrntScrキー)すればもっと早く出来ますね。

ともかく、めでたく印刷できましたのが、コチラ。




















模造紙切り分けから印刷終了まで30分程度。
2枚目以降はさらに速く出来ました。
この手のソフトを扱ったことが無い方ですと、
導入も含めて時間がかかるかもしれませんが、
作業そのものに専門的な知識がいる箇所はありません。

必要なもので無料で手に入りにくいのは、寄席文字のフォントとプリンターでしょうか。
まずは一度お持ちのプリンターの「ユーザー定義サイズ」を調べてみてください。
エプソンのA4タイプのビジネスプリンターであれば導入コストは低く出来ます。

私は現在あらかじめ演目を決めていることが多く、
ほとんど一人で出ているので落語の演目のめくりも作ってみました。




















めくりは紙でできている以上デリケートに扱うべきものです。
ただ自分がそのつもりでも、行った先でいつもそのように扱われるとは限りません。
紙製であるが故に破損しやすく、気がついたら汚れてた、破れてたなんてことも。

「近々めくりがいるのにどうしよう?」「手書きはなかなか…」
そんな方にこの記事がお役に立てば幸いです。
(…そんなに需要はないかなあ)

長文の記事にお付き合い頂きありがとうございました。